佐藤農場として有機栽培に方向転換した平成7年頃は有機栽培については農林水産省のガイドラインはあるもののJAS(日本農林規格)認証は存在せず、一般には有機栽培という概念すらも曖昧で自然農法のひとつとして捉えられていたにすぎませんでした。
現在ではJAS有機認証の基準に即した栽培方法による生産行程管理を行い、認証機関の検査に合格し、然るべき表示を出さなければ「有機」や「オーガニック」という文言を使用することはできません。
「有機」や「オーガニック」の呼称は大きな付加価値と言えます。しかし現時点で日本の国内で認定されている有機の田んぼはわずか0.13%だそうです(令和5年時点の農水省統計より)。なぜこれほどに有機栽培を試みる農家が少ないのでしょうか。それは作物の収量を増加させるための化学肥料を使うことが認められておらず、また作物の生長を妨げるいわゆる雑草や害虫を防除するための農薬の使用も認められていないなど、つまり収穫量を増やしにくく稲作経営そのものに多くのハードルがあるからです。